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「肩の痛み」に対するセルフケアについて

 今週に入り降雪が本格的となってきました。皆さまの中にも、寒さや除雪により頚や肩・腰などに痛みを伴っている方も多くいらっしゃると思います。その中には、「これぐらいの痛みなら我慢できる」、「病院に行きたいけど時間がない」と考えている方も少なくはないと思います。その方々のためにも、今回は様々な症状の中から「肩の痛み」に関して着目し、自宅で出来る肩のセルフケアを皆様に提案していきたいと思います。


 「肩の痛み」というものは人によって症状や痛む場所が様々だと思います。肩関節自体が痛む方、肩から腕にかけて痛む方、首すじから肩甲骨周囲が痛む方など、ひとりひとり症状は異なっています。また、痛みが出てきたきっかけや原因も事故や怪我によるもの、肩や腕を使い過ぎたことによるもの、加齢による組織の変性など多岐にわたってあると思います。


 そのため、実際の治療においてもその状態によって内容が変わっていきますが、どの方でも早期の治療が重要になっていきます。もちろん、その早期の治療に関しては軽度であれば自宅でのセルフケアで症状が緩和していくこともありますが、事故や怪我など外的要素によって痛みが生じている方や、着替えや整容などの生活動作に強く制限が生じている方は整形外科の受診をお勧め致します。また、今回のセルフケアの実施においても、痛みが強くなった場合や周辺部位が痛くなった場合は近くの整形外科医へ相談することをお勧め致します。そのことを念頭に置いていただき、自宅でのセルフケアを行っていただけると幸いです。


 まず、「肩の痛み」に対して推奨される治療としてはストレッチや体操などの運動療法、温熱治療や電気治療などの物理療法、神経ブロックやトリガーポイント注射などの局所注射が挙げられます。


 日本理学療法士協会が作成している理学療法診療ガイドライン第1版(以下、ガイドライン)においても、ストレッチやホームエクササイズなどの運動療法により疼痛や可動域を改善させることが可能であるとされており、さらに運動療法とともに物理療法や局所注射の併用をするとより効果的であると言われています。しかし、あくまでも短期間で症状が無くなるわけではなく、長期的に治療を行うことが必要であるとも言われています。


 そのため、早期にセルフケアを行うことで、症状の悪化を予防することが重要であると考えます。前述した3つの治療のうち、自宅で行うことが出来るものは運動療法と物理療法になります。その中でも比較的簡単であり、一人でも行うことが出来るものを紹介させていただきます。


①痛みが出ている肩や腕を温める

 ・自宅にあるきれいな濡れタオルを用意し、レンジで使用できる袋に入れる。

 ・濡れタオルを入れた袋をレンジで少しだけ温める。(やけどに注意)

 ・温まった濡れタオル入り袋をフェイスタオル等で温かさを感じる程度の厚みでくるむ。

 ・患部に当てて使用する。


 もしタオル等の準備が難しい場合は、市販の貼るカイロでの代用も可能です。しかし、どの方法においてもやけどに注意して行ってください。また、可能であれば座った状態や寝た状態など、自身が楽な姿勢で10~20分前後は継続して行うようにしてください。

 ※痛みが強く生じている場合は温熱療法が合わないことがあります。その場合は無理に温めず、ご自身の楽な姿勢で身体を休ませてください。


②肩甲骨を回す運動


 ・座った状態で片方または両方の肩甲骨全体を時計回り、反時計回りに回す

 ・1日10回×3セット程度を肩または腕周り等に痛みが出ない範囲で行う

 ・肩甲骨を回す際、腕はなるべく脱力し肩甲骨のみを動かすように注意する


↓イラスト参考にしてください(肩甲骨を回す運動)



③肩回りをほぐす運動


 ・頭の後ろで手を組み、痛みが出ない範囲で腕を開き胸を張るように行う

 ・1日10秒×3回程度行う

 ・腕を上げるのが辛い場合は、腕を下におろした状態で胸だけを張るように行う


④腕を後ろに伸ばす運動


 ・腕を後ろで組み、痛みが出ない程度に胸を張りながら腕を後ろに伸ばす

 ・1日10秒×3回程度行う

 ・腕を後ろに伸ばすのが辛い場合は、腕を後ろに組んだ状態で胸だけを張るように行う


以上が、自宅で一人でも行うことが出来る運動療法と物理療法になります。濡れタオルやカイロを用いた物理療法以外の運動療法は、あくまでも痛みが出ない程度に行うことが重要です。ガイドラインにおいてもストレッチ等の運動に関しては痛みを伴うものよりも、痛みのない範囲で運動を行った方が良い効果が得られるとされています。そのため、強い痛みを伴うような無理な運動は逆効果になってしまうということを理解した上で行ってみてください。


 簡単にではありましたが、今回は「肩の痛み」に関するセルフケアを紹介させていただきました。最初に書かせていただいたように、「肩の痛み」とは人によって原因が多岐にわたります。そのため、今回紹介させていただいた運動が体に合わない方もいらっしゃると思います。また、温める物理療法においても状態によっては推奨できない場合もあるため、もしセルフケアに関して不安感がある場合や運動が自身の体に合わない場合は整形外科を受診することをお勧め致します。


 最後に、今回紹介した運動療法や物理療法は治療のごく一部になります。他の運動療法等にも興味がある方はぜひ当院の医師、理学療法士に相談してみてください。


<参考文献>

公益社団法人 日本理学療法士協会 理学療法診療ガイドライン 第1版 p233‐p276

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