日常生活や趣味、運動をしていて『肩の調子が悪いな』『なんとなく動かしにくいな』と感じることはありませんか?
『肩が痛いけど病院に行くほどではないな。』『肩が少し気になるけど湿布貼っておけばそのうち治るだろう。』そう考えている方は多くいらっしゃると思います。しかし、それは肩関節周囲炎や石灰性腱炎、腱板損傷かもしれません。
肩関節は人体の中で最も可動域(動く範囲)が広い関節です。関節の可動域が広いということは同時に関節が不安定になりやすいことを意味しています。そのため肩関節の周囲は多くの筋肉が関節を囲むように存在して関節を動かし、安定させる役割をしています。また、肩甲骨とは密接な関係にあり連動して動作(肩甲上腕リズム)を行います。
肩関節の広い可動域を可能とするために構造上、肩峰(鎖骨と肩甲棘で構成)と上腕骨頭という骨の隙間を走行する筋腱(棘上筋腱)も存在しています。
私たちが生活する上で手を使わずに生活することは困難なことです。その手をより自由に便利にしてくれているのが肩関節という可動域の広い関節なのです。しかし、広い可動域の一方で構造上知らず知らずのうちに筋腱が傷つき痛めてしまう危険性も含んでいます。
では、筋腱を傷つけてしまう原因とは何でしょうか?
関節の構造上の問題点や加齢による筋腱の弱化も原因の一つには違いありませんが、実は普段の姿勢や誤った使い方が原因になる可能性もあるのです。
前述したように肩関節は肩甲骨の動きも重要になります。しかし、胸椎の後弯が増大(猫背と呼ばれる状態)すると肩甲骨が外側に引っ張られ正常な位置にない状態になります。また、肩関節が前方突出となりこれも正常な位置とは言えません。この状態で肩関節の屈曲・外転など動作をすると筋腱への負担が増大します。また、代償動作を使用することで一部の筋肉を過度に使用するオーバーユースが発生してしまいます。関節の構造上で肩甲骨が上手く動かせないと骨と骨に筋腱が挟まるインピンジメントが発生する可能性もあります。
このように普段の姿勢やそれが原因で起こる間違った使い方が長い間続くことで筋腱を傷つけ、炎症を起こして肩を痛める要因となることがあるのです。この様な場合の多くで、肩甲骨や肩関節周囲の筋力が低下する、柔軟性が低下するなどの状態がみられます。そのため、日常的にストレッチや運動を行うことで柔軟性や筋力を向上して姿勢に気を配り改善していくことが大切になります。
肩が痛いという症状でも様々な疾患があります。先に記述したように肩関節周囲炎(四十肩・五十肩と呼ばれる)や腱板損傷、腱板断裂、石灰性腱炎などの疾患があり、それぞれに治療方法や治療のプロセスが違います。まずは医師の診察を受け、ご自身の肩の状態がどうなっているのか診断してもらう事が大切です。
当院では疾患や症状によって関節注射や薬物療法、物理療法や運動療法など患者様一人ひとりの状態に合わせた治療を選択・実施しております。
リハビリテーションでは患者様に分かり易いパンフレットを用意し、日常生活での注意点や少しでも痛みを楽にできるような姿勢と動作、お家で出来る運動を紹介しています。また、超音波治療器や運動療法、ストレッチを用いて少しでも患者様の症状を改善できるようお手伝いさせていただきます。
はじめは症状も軽く病院へ行かなくても大丈夫と思っていても、症状が長引く、悪化していく場合も多々あります。まずは整形外科に行き、医師に相談してみてはいかがでしょうか。
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