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 今回は、日々の診療業務中でよく聞かれる「この検査って何なの?」という質問に答えるべく、骨塩定量検査についてまとめたいと思います


 骨塩定量検査は、骨密度を測定する検査の一種で、主に骨粗鬆症や骨折のリスクを評価するために用いられます。骨密度は骨の中に含まれるカルシウムやその他のミネラルの量を示し、骨の強度や健康状態を反映します。この検査は、骨がどれだけ密であるか、すなわちどれだけのカルシウムが含まれているかを測定することで、将来的な骨折のリスクを予測し、骨粗鬆症の診断や治療効果の判定に役立てられます。


 骨塩定量検査にはいくつかの方法があり、最も一般的なのが「DXA(デキサ)法」(Dual-energy X-ray Absorptiometry)です。DXA 法では、低用量の二種類のエネルギーの X 線を使用して骨密度を測定し、当院でもこの DXA 法の骨塩定量検査を行っています。


 他の方法としては、超音波を利用する「超音波骨密度測定」や、CT スキャンを応用した「QCT(Quantitative Computed Tomography)」などがあります。超音波法は主にかかとの骨密度を測定するのに用いられ、放射線被曝がないため安心して受けられる一方、DXA 法に比べて精度が劣る場合があります。QCT は三次元的に骨の密度を測定できるため、より詳細な情報が得られますが、被曝量が多くなるというデメリットがあります。


 骨塩定量検査は、特に閉経後の女性や高齢者にとって重要です。


 閉経後の女性はエストロゲンの分泌が減少することで骨密度が急激に低下しやすくなり、骨粗鬆症のリスクが高まります。また、高齢者は加齢に伴う骨の劣化やビタミン D の不足が原因で骨密度が低下しやすくなります。このような人々に対して、骨塩定量検査を行うことで、早期に骨密度の低下を発見し、適切な治療や予防策を講じることができます。


 さらに、骨折を経験した人や骨粗鬆症の家族歴がある人、特定の薬物を長期間服用している人なども、定期的な骨塩定量検査が推奨されます。この検査によって得られたデータは、医師が骨の健康状態を評価し、治療方針を決定するための重要な指標となります。


 骨塩定量検査は、定期的な検査と適切な対策を取ることで健康で活動的な生活を維持するために欠かせないものとなっています。検査希望の方はすぐ受けられるので、当院の受診を検討してみて下さい。

 私たちは二本脚で立って歩いて生活をしています。毎日気が付かないうちに膝関節や股関節、腰に負担をかけているのです。それにより年齢とともに膝関節や股関節、腰にトラブルが発生して痛みや可動域の制限が出現し、生活や趣味活動の妨げになる可能性があります。

 

 今回はその中でも膝関節に注目してお話ししたいと思います。

 

 膝関節は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(脛の骨)、膝蓋骨(膝のお皿と呼ばれる骨)で構成されます。大腿骨と脛骨の末端、膝蓋骨の関節面には関節軟骨と呼ばれる軟骨が骨をカバーするように包んでおり、大腿骨と脛骨の間には半月板と呼ばれる軟骨が存在しています。そのほかにも関節を安定させるための靱帯や膝関節の運動と安定性を向上する筋肉が関節を構成しています。

 

 関節軟骨は膝関節にかかる体重や運動時の衝撃を緩和する緩衝材としての役割や膝関節の動きを滑らかにする様な役割があります。皆さんはテレビなどで聞いたことがあると思いますが関節軟骨は使用すればするだけ擦り減っていきます。そして軟骨は自己再生能力が乏しく回復することが難しいものなのです。年齢とともに擦り減り回復が難しい軟骨がある程度傷んでくると痛みや関節の動きを邪魔して引っ掛かるような違和感が出現するようになります。そのまま放置するとO脚などの変形を伴う変形性膝関節症につながります。


 痛みが増え歩くことも困難になれば生活も大変になり、スポーツや旅行、園芸や買い物などの趣味活動も行えないことになります。そうならないためにどうすればよいのか考えていきましょう。

 

 関節軟骨を摩耗することは避けられませんがその負担を減らして守っていくことは可能です。では、そのために有効な方法とは何が考えられるでしょうか。

 

➀ 体重を軽くして膝関節にかかる負担を減らしてあげるということになります。


② 膝関節を動かし支える筋力を強化して関節にかかる負担を減らすという方法です。

 

 一つ目の体重を減らし負担を軽減する方法について注意点があります。それは運動をしないで食事を減らすなどのダイエットを行うことです。もちろん、食事内容を考えて間食を減らすなどの食事コントロールをすることも重要になりますが必要以上に食事を減らすことで栄養状態を悪化させることは筋力や体力の低下を招きます。また、運動をしないと筋力が低下してしまうことが考えられます。これにより関節を支える力が低下して体重は減ったのに関節にかかる負担は軽減しないような状況が発生する可能性があるのです。

 

 ここで重要になるのが二つ目に挙げた運動による筋力の強化をすることにつながっていきます。膝関節を動かし支える筋肉は主に大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋です。これらの筋肉を強化し関節にかかる負担を軽減することで膝関節の痛みの軽減につなげます。強化に役立つお家でできる運動を紹介します。


<大腿四頭筋を強化する運動>

① 椅子などに腰を掛けます。その姿勢で膝関節を出来る限りまっすぐ伸ばします。伸ばした状態で10 秒間数えます。10 秒数えたらゆっくり元に戻します。これを10 回繰り返します。片脚を10 回終えたらもう片方の脚も10 回運動を行いましょう。

 この運動のコツは膝関節を伸ばした時に膝蓋骨(膝の皿)のすぐ上に力を入れるイメージで行うと良いでしょう。


② 床やベッドに長座位(足を伸ばした状態で座る)または背臥位(仰向けに寝る)で膝関節の下に枕やボールを入れます。そのまま枕を膝の裏で押しつぶすように膝関節を伸ばします。押しつぶしたまま10 秒間数えます。これを10 回繰り返します。片脚ずつ行います。

 この運動のコツは膝蓋骨(膝の皿)の周囲に力を入れるイメージで行うと良いでしょう。


<ハムストリングスを強化する運動>

① 立位で脚を肩幅に開きます。椅子の背もたれや壁、壁についている手すりなど安定した動かないものに手をつきます。そのまま膝関節を45°~60°程度曲げてしゃがんでいきます。膝関節を曲げた状態で3 秒ほど静止してゆっくり立ち上がります。これを10 回繰り返します。

 この運動のコツはお尻を後ろに下ろしていく様に膝関節を曲げていくと良いでしょう。


② 背臥位(仰向けに寝る)で膝関節を90°曲げて膝を立てます。お尻を持ち上げて5秒静止してからゆっくりと下ろします。これを10 回繰り返します。

この運動のコツはお尻をしっかり持ち上げることとゆっくり下ろすことを意識しながら行うと良いでしょう。


<下腿三頭筋を強化する運動>

① 立位で脚を肩幅に開きます。椅子の背もたれや壁、壁についている手すりなど安定した動かないものに手をつきます。その姿勢で踵を持ち上げます。その後ゆっくりと踵を下ろします。これを10 回繰り返します。

 この運動のコツはしっかりと踵を持ち上げゆっくりと下ろすことを意識して行うと良いでしょう。



 ⇒ まとめると、膝関節の負担軽減には運動を行いながら適度な栄養を食事でとり、

余分な間食を避けて筋肉を保ちながら体重を減らすことが大切です。

 

 膝関節の痛みなどの治療には薬物療法やリハビリテーションなどもありますので、放置せずに医師に相談して適切な治療や運動の指導を受けることが悪化させずに生活の質を維持していくことに結びつきます。


 運動に関するご質問や腰痛、膝などの関節痛にお困りの方は整形外科にご相談ください。皆様の生活をサポートいたします。

 

参考文献:医歯薬出版株式会社 基礎運動学 第 6 版補訂

     医学書院 標準理学療法学・作業療法学 解剖学 第 4 版




 以前、健康のための安全な運動の始め方について、ブログを書かせていただきましたが、改めて皆さんは健康維持のためにからだを動かしていますでしょうか。

 

 人のからだは放っておくと、筋力や体力といった身体機能が徐々に低下してしまうため、健康な状態を保つには日頃から、からだを動かす習慣を身に付けておくことが重要になります。

 

 世界保健機関(WHO)によると、全世界においての死亡に関する危険因子の上位は、

1位:高血圧、2位:喫煙、3位:高血糖となっており、それらに次いで4位:身体活動・運動の不足が位置付けされています。

 

 また、身体活動や運動量が多い人は、それらが少ない人と比較して循環器疾患、糖尿病、がん、ロコモティブシンドローム(運動器の障害のために立ったり歩いたりするための身体能力が低下した状態)、うつ病、認知症等の発症や罹患リスクが低くなることは現代において周知の事実となっています。


 昨年、厚生労働省において「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」が改正されました。今回のブログではその一部をご紹介したいと思います。

 

 厚生労働省が推奨するガイドラインでは、身体活動と運動の定義を以下のように示しています。


身体活動」…安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する骨格筋の収縮を伴う全ての活動

運動」…身体活動のうち、スポーツやフィットネスなどの健康・体力の維持・増進を目的として計画的・定期的に実施されるもの

 

強度(メッツ)

運動の例

3.0

通常の歩行、ボウリング

4.0

速歩き、サイクリング

5.0

野球、ソフトボール

6.0

ジョギング

7.0

テニス、サッカー

8.0

水泳、ランニング

 

(用語の説明)

※   強度「メッツ」とは身体活動の強度を表し、安静座位時を1メッツとし、その何倍のエネルギーを消費するかという指標です。

例えば、3メッツの強度の身体活動は、少し息が上がるくらいの強度で、中強度とは3~5.9メッツ、高強度とは6メッツ以上の強度のことです。

 

 今回のガイドラインでは、ライフステージ(成人、子ども、高齢者)ごとに身体活動・運動に関する推奨事項がまとめられています。


 また、新たに座位行動という概念をとり入れ、立位困難な人に対しても、じっとしている時間が長くなりすぎないように、少しでも身体を動かすことを推奨しています。なお、実際に取り組むに当たっては、「個人差(健康状態、体力レベルや身体機能等)を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組むことが必要」と付記されています。

 

<成人に奨められる身体活動と運動>

○  個人差等を踏まえ、強度や量を調整し可能なものから取り組む。今よりも少しでも多く身体を動かす。

○  強度が3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行うことを推奨する(1日約8,000歩以上に相当)。

○  強度が3メッツ以上の運動を週4メッツ・時以上行うことを推奨する。具体的には、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行うことを推奨する。

○  筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨する(週4メッツ・時の運動に含めてもよい)。

○  座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する(立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないよう、少しでも身体を動かす)。


<こどもに奨められる身体活動と運動>

○  身体を動かす時間が少ないこどもには、何らかの身体活動を少しでも行うことを推奨する。

○  WHO「身体活動および座位行動に関するガイドライン(2020年)」では、次のようなことが推奨されている。

・  こどもは、中強度以上(3メッツ以上)の身体活動(主に有酸素運動)を1日60分以上行う。

・  高強度の有酸素性身体活動や筋肉・骨を強化する身体活動を週3日以上行う。

・  座りっぱなしの時間、特にスクリーンタイム(テレビ視聴やゲーム、スマートフォンの利用など)を減らす。

○  激しすぎる運動やオーバーユース(使いすぎ)に注意する。

 

<高齢者に奨められる身体活動と運動>

○  個人差等を踏まえ、強度や量を調整し、可能なものから取り組む。今よりも少しでも多く身体を動かす。

○  強度が3メッツ以上の身体活動を15メッツ・時/週以上行うことを推奨する。具体的には、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日40分以上行うことを推奨する(1日約6,000歩以上に相当)。

  ✓上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を推奨する。

  ✓体力のある高齢者では成人同様(23メッツ・時/週)の身体活動を行うことで、さらなる健康効果が期待できる。

○  筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行うことを推奨する。

○  筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨する(多要素な運動に含めてもよい)。

○  特に身体機能が低下している高齢者については、安全に配慮し、転倒等に注意する。

○  座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する(立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないように、少しでも身体を動かす)。

 

 以上、厚生労働省が推奨する健康づくりのためのガイドラインを紹介させていただきました。

 

 皆さんも是非この「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を参考にしながら、ご自身の日常生活内において、身体活動と運動を意識して実践する時間を増やしてみてはいかかでしょうか。

 

<引用サイト>

厚生労働省策定「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」




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