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 当院では骨折、靭帯損傷、捻挫などの怪我や扁平足などで医師が必要と判断した場合、装具(サポーター)を作ることができます。

 その際オーダーメイドですと700点(主に腰のコルセットを作る場合)、レディメイド(手首や足首・膝など)やインソールだと200点の診療点数がかかり、このほかに装具代を負担していただくことになります。

 装具代は、患者様に一旦全額(10割)ご負担していただきますが、払い戻しのお手続きをしていただきますと、負担割合に応じて7~9割が振り込みで払い戻しされます。

装具(サポーター)代のお支払いについて

 患者様から義肢装具屋さんへ直接、現金かお振込みでお支払いいただいております。その際は先述した通り、一旦全額(10割)のお支払いとなります。

 お支払いしていただくと、装具代の領収書と装具の証明書を発行いたします。それぞれ義肢装具屋さんと病院から発行され、患者様に直接お渡しいたします(お振込みの場合は郵送でのお渡しなります)。この書類をもって後日払い戻しのお手続きをしていただく形になります。

払い戻しのお手続き方法

・国民健康保険(国保)の場合

 装具代の領収書と装具の証明書、このほかに患者様の保険証、印鑑(認印でも可)と通帳などの銀行口座のわかるものをお持ちになって、お住まいの地域の市役所または区役所の健康保険の窓口へ提出しお手続きをしていただくと後日お振り込みにて払い戻しされます。

・全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合

 装具代の領収書・装具の証明書のほかに、療養費支給申請書(患者様へお渡しもしていますが協会けんぽのホームページよりダウンロードも可能です)を記入の上、3点セットでご加入の協会けんぽの支部へ郵送していただくと後日お振り込みにて払い戻しされます。

ご加入の協会けんぽの支部がわからない方は、保険証の下部に支部名と住所の記載がありますのでそちらをご確認ください。

・その他組合など

 装具代の領収書・装具の証明書を職場の健康保険の窓口に提出していただき所定のお手続きをしていただく形になります。

 わからないことや詳しく聞きたいことなどありましたら、当院受付窓口までお気軽にお問い合わせください。




 

 


  以前紹介した「野球肘」や「ランニング膝」など、スポーツの名前が付いたけがや故障はいろいろとありますが、中高年の皆さんが肘に痛みを抱えて受診されたとき、特に多くみられるのが「テニス肘」です。

 テニス肘は、正式には「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」といいます。肘の関節の外側にあたる上腕骨外側上顆は、手首や指をそらす筋肉の始まりの部位(長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋)です。手首をそらす際、これらの筋肉が収縮し、外側上顆に負担がかかります。主に短橈側手根伸筋が付着する部位で、障害を受けることが多いと考えられています。

 テニスの特にバックハンドでボールを打つ力が繰り返しかかることで、この筋肉への負担が過剰になり痛みが生じます。テニス選手のほか、中高年のテニス愛好家に目立ちます。

 注意したいのは、テニス肘が起こるのは、テニスをする人やラケットを握ってスポーツをする人だけに限らないことです。思いがけない病名を告げられて、戸惑う患者さんも少なくないです。

 例えば、パソコンのキーボードを長時間打ったり、重い荷物を運んだりする人で発症するケースがあります。乳幼児を抱き抱える母親などにもよくみられます。また、調理でフライパンを振るといった動作などもテニス肘の原因になります。年を重ねて肘の柔軟性が低下している人は、少し肘に無理な力がかかっただけでも発症する例があります。

 物をつかんで持ち上げるときやタオルを絞ったときに、肘の外側から前腕にかけて痛みが出る場合は、テニス肘になっている可能性が高いです。多くの場合、安静時に痛みはありません。検査・診断ですが、エックス線では異常がみられないこともあり、超音波検査や磁気共鳴画像(MRI)で腱の痛み具合を調べることもあります。

 治療法は、まずは安静にすることが一番です。痛みを引き起こす動作や作業を控えてもらうことになります。また、テニス肘用のサポーターを装着したり、手首や指のストレッチを行ったり、湿布や外用薬なども併用して、痛みの軽減を図ります。

 ストレッチは、手のひらを下にして、反対の手で中指を中心に引っ張ります。親指が下になるような位置で引っ張るとより効果的です。また、上腕骨外側上顆から始まる筋肉をよくほぐしておくことも有効です。これらのストレッチは、テニス肘の予防としても大切です。

 以上のような手術を行わない保存的治療が有効で、8割以上の人が1年以内に治癒するとされています。痛みを短時間で抑えたいという場合は、ステロイド剤の注射で炎症を抑えることもあります。まれではありますが、繰り返し発症する人や、痛みが慢性化してなかなか治らないケースでは、筋膜を切開するなどの手術を行うこともあります。手術には切開手術と関節鏡視下手術があり、ともに成績は良好です。

 最近は、自分の血液から採取した血小板を再注入する「PRP療法」、患部に衝撃波を当てる「体外衝撃波治療」など新しい治療が行われ始めています。導入している医療機関は限られ、自由診療となりますが、副作用が少ない治療法として注目されています。

 肘に痛みが現れたら、手首への負担を軽くするよう心掛け、スポーツや手首を使った後には、入念にストレッチする習慣を付けましょう。肘が痛くなる病気はテニス肘だけではありません。痛みが続いたり、強くなったりするようであれば、早めに整形外科に相談してください。





 

 



 階段の上り下りの際、膝がズキっと痛む。そんな変形性膝関節症を抱える中高年を対象に、「長年悩んでいた膝の痛みが解消!」「すり減った軟骨が再生する」「医師も太鼓判!」「実験でも効果を証明」などのキャッチコピーで、膝への効果をアピールし、現在もっとも売れているサプリメント・健康食品がグルコサミン、コンドロイチン、(飲む)ヒアルロン酸です。商品名を具体的に挙げることはしませんが、日本を代表するような大きなメーカーからも発売されており、皆さんの中にも愛用されている方がいらっしゃるかもしれません。

 すり減った膝の軟骨を再生し、膝の痛みや違和感を軽減すると喧伝されていますが、本当に効果はあるのでしょうか?

 整形外科医の立場から結論を申し上げると、基本的にほとんどのグルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸のサプリメントを含む健康食品には「効果がない」と思った方がいいでしょう。

 「効果がない」と聞いて驚かれた方も多いのではないでしょうか。また、「私には効いているよ」と反論される方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、現時点ではグルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸のサプリメント、健康食品が膝や関節痛に効くという「エビデンス」は示されていません。

 「エビデンス」とは、医学の世界では「根拠」という意味で使われる言葉です。エビデンスがある、示されているというのは科学的根拠、つまり実験や調査などの研究結果から導かれた「裏付け」があることを指します。エビデンスがない、示されていないということは、専門家によるさまざまな研究結果を総合的に分析した上で、それらのサプリメント、健康食品の膝への効果が認められなかった、十分な有効性が解明できなかったということです。分かりやすくいえば、効き目がなかったということです。

 メーカーの宣伝には「痛みがやわらいだ」「長く歩けるようになった」など使用者の声が多数掲載されていますが、それが本当かどうか確かめるすべはありません。確かに、効くと信じて飲むことで「プラシーボ効果=思い込みによる偽薬効果」により、体調がよくなったと感じた人もいらっしゃったかもしれません。しかし、それはあくまで気持ちの問題であって、医学的に効果があったことを証明することにはなりません。

 CM や雑誌、新聞広告で、有名人が「この商品のおかげで元気になりました」と語っている姿をよく見かけますが、画面や誌面、紙面の端には小さく「個人の感想です」と注釈が出ています。もっともらしい体験談や試験結果などが出ていることも多いですが、われわれ整形外科医からしてみると、各メーカーが売り上げをのばすために、法律の隙間をぬって誇大広告を続けているようで、あまりいい気持ちはしません。

 繰り返しになりますが、大事なことなので、もう少し詳しくまとめます。


 グルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸が軟骨の成分であるのは事実です。しかし、多くの研究結果からグルコサミンやコンドロイチンを、サプリメントを含む健康食品などで経口摂取しても、軟骨のすり減りを抑えたり、関節の動きをやわらかくしたり、関節痛を改善したりする効果はまったく認められていません。

 また、グルコサミン、コンドロイチン同様、変形性膝関節症に効くといわれているヒアルロン酸も、国立健康・影響研究所の報告でも「ヒアルロン酸注射(関節内投与)については一定の効果が認められているが、経口摂取による有効性について信頼できるデータは見当たらない」と断言されています。

 痛みは数値化できるものではないので、本人の思い込みによる部分も大きいです。「効いている」と感じている方に、サプリメントや健康食品の継続を無理にやめさせようとは思いませんが、もし「効いているかどうかわからない」という方であれば、飲み続けるのは「医者の目から見ると意味がないよ」とアドバイスしています。

 最後に、サプリメントや健康食品は剤型を見れば薬と変わりませんが、影響摂取や健康増進のためのもので、病気の治療が目的である薬の代わりになるわけではありません。サプリメントや健康食品だけで病気が治ったということを証明した研究結果はありません。本当に特定の病気や症状に効くというデータが実証されれば、健康食品や保健機能食品ではなく医薬品として承認されるはずです。

 近年では、皆さんの健康意識が高まり、テレビや雑誌、新聞のほかインターネットや SNSの口コミなどで、健康や医療に関する数多くの情報を入手しています。しかし、必ずしもすべての情報が「正しい」「効果がある」と言い切れないのが事実です。テレビ番組などで紹介された健康食品、健康法に十分なエビデンスがないことも少なくありません。そればかりか、エビデンスの伴わない不確実な情報が、誇大に喧伝されることで消費者の皆さんが殺到し、われわれ医師からするとちょっと信じられないような「誤ったブーム」を生み出してしまっているケースもみられます。

 誰かに勧められたり、大きく宣伝されたりしているというだけで、健康法や治療法を選ぶのは危険です。インターネットをはじめとしたさまざまな情報源から得られる健康・医療情報の背後にあるエビデンスを知り、その情報の正しさを判断することがこれからの時代、大切になってくると思われます。

 
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