top of page

Blog.

ブログ

検索

 

 リハビリテーション部では、リハビリ通院患者さんに向けて、自宅でも継続してトレーニングしていただける様に『自宅で出来る運動療法』パンフレットを作成しました。今回は第2弾として『足関節捻挫後の自主ケア』についてご紹介させていただきます。

 

 足関節捻挫といえば、スポーツをしている方には馴染みのあるケガだと思います。スポーツ活動中に発生する足関節捻挫は、スポーツ傷害全体の45%を占めると報告(Ferran N, et. al : Foot Ankle Clin, 3:2006)されており、練習中や競技中における受傷が多い疾患の一つであると言えます。その足関節捻挫をしてしまう動きや姿勢は様々ありますが、基本的には足関節の動きが正常と比較して逸脱した際に生じやすいと言われています。例えば、ジャンプの着地やダッシュの急停止、歩いているときのつまずきなどにより、足首が内側に巻き込まれる様な姿勢を取ってしまうことで生じることがあります。この動きによって、足関節(特に外側のくるぶし)周囲の靱帯組織に過剰な伸張ストレスが加わり、靱帯損傷や部分(完全)断裂というような軟部組織の損傷や、靱帯付着部の骨折が引き起こされる可能性が考えられます。靱帯損傷をした際は、直後より損傷部周囲の動作時痛や圧痛、荷重時痛を伴うことがあり、内出血や腫れが引き起こされるケースも多く見受けられます。しかし、受傷した状況や元々の身体機能がそれぞれ異なるため、痛みや腫れ方などでも個人差が大きく、ご自身での初期治療の判断が足関節捻挫の予後に大きく関わってくるのです。


 「もし自分が捻挫をしたら…」ということを頭の中で思い浮かべてみてください。その捻挫による痛みや腫れがとても強く、歩くのも辛い状況であれば最寄りの整形外科を受診すると思います。しかし、その痛みや腫れが軽度であり、歩くことも可能であれば整形外科を受診せず、痛みや腫れが落ち着くまで安静にすることを選択する方もいると思います。足関節捻挫受傷後に55%の選手が医療機関を受診していなかったとの報告(Smith R, et. al : Am J Sports Med, 14:1986)があります。


 この様に、足関節捻挫は損傷の程度が軽ければ気にせず競技や日常生活に戻る方が多いというのが現状です。もちろん、損傷した部位が自然治癒することもあり、その後も再受傷することがなければ元の生活に戻ることは可能であると思います。ただ、足関節捻挫に限らず、靱帯損傷を伴うケガは、しっかりと治療を行わなければ痛みや不安定感と長く付き合っていかなければならないケースも多くあります。スポーツにおける足関節捻挫の再発率は73%であり、そのうちの59%が足関節の痛みや不安定感などの後遺症を有していたと報告(Yeung MS, et. al : Br J Sports Med,28:1994)しています。足関節捻挫を治療する上では、予後における痛みや不安定感をいかに軽減できるかというところが重要になります。


 当院でも足関節捻挫後の痛みや不安定感に着目し、治癒の時期に沿うような理学療法を提供していきたいと考えております。受傷直後の患者さんに対しては安静・固定、冷却、圧迫、挙上などのRICE処置やその指導を行い、受傷2~3日後には、炎症症状を考えたリハビリテーションによる治療を行っていきます。リハビリテーションプログラムとしては、足の指や受傷した足関節以外の運動療法(指の屈伸・タオルギャザーなど)やマッサージなどの徒手療法、超音波治療、低周波治療器による電気治療などを実施します。その後、治癒の段階に応じて足関節の可動域訓練や部分的なストレッチ、スクワットやチューブを用いたトレーニングを行っていきます。病院でのリハビリテーションも重要ですが、自宅で行うケアも大変重要になります。そこで、リハビリ通院患者さんには帰宅後も引き続きご自身でトレーニングを継続して頂きたいとの思いから、『足関節捻挫後の自主ケア』のパンフレットを作成致しました。パンフレットは、イラストを多用し、どなたにもわかり易いように工夫しております。


 足関節捻挫は、どんな方でも起こり得るケガの1つであると思います。その中でもスポーツを継続したいと考えている方にとってはしっかりと治さなければならないものです。当院リハビリテーション部でもケガによって日常生活やスポーツ活動に支障が出てしまった方のサポートに全力を尽くさせていただきたいと考えております。


 

 

 物理療法に期待出来る事は、①鎮痛効果(疼痛コントロール)、②筋機能改善効果(筋緊張・ROMの改善)、③治癒促進効果(硬・軟組織修復)とされています。


 当院リハビリテーション部では、現在、物理療法時にEMS(Electrical Muscle Stimulation)・干渉波・ホットパックなどを組み合わせて施術しておりましたが、このたび、物理療法による治療効果をより一層高めるため、各スポーツ団体とサプライヤー契約している事で有名な伊藤超短波株式会社製の超音波治療器を導入しました。


 超音波療法の作用機序は、導士の先端が機械的に振動すること〔1秒間に100万回(1MHz)~300万回(3MHz)〕による、①温熱作用と、②音圧作用です。


① 温熱刺激としての生体に適した加温は3-4度で、生理的変化は、腱・関節嚢・瘢痕組織の膠原繊維(コラーゲン)の伸展性が増加する事です。温熱作用により伸展を容易にし、腱・関節嚢・拘縮した瘢痕の可動域が増す効果が期待できます。対象症例は、疼痛・筋スパズム・瘢痕組織・異所性骨化・関節周囲炎・関節拘縮・リウマチ・腱鞘炎・五十肩などが代表的です。


② 音圧作用とは、振動が体内に投入(ミクロマッサージ)されることで、強力なミクロマッサージが、マッサージと同様の実際的な刺激を組織に与えます。パチニ小体(主に皮膚に見られる主要な4種類の機械受容体のうちの1つ)を賦活し、筋反射や関節反射を起こすことで筋緊張の緩和や関節腫脹の軽減が期待できます。対象症例は、創傷・靱帯損傷・浮腫・血流改善です。


 超音波治療器の特長は、神経系に効果が高い電流療法に比べ、軟部組織系に治療効果が高いことです。これからは、既存の電流療法等に加え、超音波療法をプラスすることで相乗的な効果が期待できると考えております。


 超音波療法にご興味がある方は、当院医師または理学療法士にお声かけ下さい。



伊藤超短波株式会社:

スポーツプロジェクト詳細はこちら⇒   http://www.sports.itolator.co.jp/



 

 2018 年の日本人の平均寿命は女性が87.32 歳、男性が81.25 歳で、ともに過去最高を更新しました。(厚生労働省「簡易生命表」2018 年)


 ただ、長寿は手放しで喜べない面があります。「健康寿命」という言葉を知っていますか。介護を受けたり、病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活できる期間とされ、2016 年で女性は74.79 歳、男性は72.14 歳。つまり平均寿命より、女性は12 年、男性は9 年ほど短いということになります。長生きをしても支援や介護が必要となる期間も長いことが課題となっているのです。今後さらに高齢化が進む中で、単なる長寿ではなく、健康寿命を意識していく必要があります。


 2016 年の厚労省「国民生活基礎調査」によると、65 歳以上の介護が必要になった方の原因は『骨折・転倒』『関節疾患』が全体の22.7 %を占めています。女性の場合、『骨折・転倒』『関節疾患』が全体の27.8 %を占めており、認知症や脳卒中を上回っています。骨や関節の健康は、全身の健康につながります。健康寿命を延ばし、いきいきとした老後を過ごしていくためには、骨や関節の健康を保つのが非常に重要であることが分かるデータといえます。身長が縮んだ、背中が曲がった、わずかに腰が痛い…などの小さな兆候をきっかけに整形外科を受診し、検査してみたところ、思いもかけず「骨折です」と診断されて驚いた。そんなケースも少なくありません。これが、特に思い当たる節もないのに発症している「いつの間にか骨折」です。


 いつの間にか骨折は、「骨粗しょう症」により背骨の椎体がつぶれる骨折「(骨粗しょう症性)脊椎圧迫骨折」のことで、年間約30 万人以上に発症しています。この病気は、骨がもろくなったことにより、じわじわとつぶれるように症状が進行するため、骨折が進んでいる間も痛みを感じないことがあります。もっと心配なのは、背骨は小さな骨が積み重なった構造で、1 カ所がつぶれると、それが引き金となって2 カ所、3 カ所と骨折が連鎖・拡大する恐れがあることです。


 骨粗しょう症による痛みが出ない脊椎圧迫骨折=いつの間にか骨折は自覚しにくく、骨折していても放置されやすい疾患です。患者さんの3 分の2 が未受診という疫学調査の結果もあるほどです。「腰が曲がる」「背中が丸くなる」などは単なる老化現象と思われがちですが、実は背骨の椎体がスカスカになって骨折し、骨が変形した脊椎圧迫骨折の一つなのです。骨折がきっかけで脊髄が圧迫されて神経がまひしたり、心臓や消化管に障害を起こしたり、脊椎圧迫骨折が命にかかわってくるケースも珍しくありません。

いつの間にか骨折をしないためには、まずは骨粗しょう症の予防が重要です。骨密度が低下して骨がもろくなる骨粗しょう症は、全国に約1300 万人の患者がいます。男性300万人に対し、女性は1000 万人と圧倒的に多いです。(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会:2015)


 骨粗しょう症を防ぐには、生活習慣への細かな気配りが必要です。骨の形成に必要なカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質などを含む食物を意識しながら、栄養バランスのよい食生活を心掛けましょう。カルシウムの多い食品は牛乳、ヨーグルト、豆腐など。ビタミンBはニシンやイワシなどに含まれ、ビタミンKは緑黄色野菜に多く含まれます。こうした食材を毎日の食事に取り入れ、骨を強くすることです。ビタミンDは食事以外でも、紫外線を浴びることで、皮下でつくられます。日照時間の少ない北海道は紫外線量が少ないので、1 日10 分以上は日光浴のために外出して歩くことを心掛けましょう。適度な運動も大切です。運動して骨に力がかかると、骨密度が充実します。無理のない範囲で継続して体を動かしてください。運動のための時間や環境を整えられないという方は、例えば、電車の中で一駅分つま先立ちをして揺れに耐えたり、テレビを観ながらスクワットや片足立ちをしたりするなど、ちょっとした隙間の時間を利用して体を動かすのがおすすめです。

 

 骨粗しょう症と診断された場合は、骨を壊す細胞の働きを抑え、骨が壊れにくくする薬や、カルシウム・ビタミンD・ビタミンK薬などを処方するとともに、食事・運動療法に取り組んでもらいます。骨粗しょう症や骨量の減少を早期に発見・治療し、いつの間にか骨折を未然に防ぐには「骨量測定」が有効です。ぜひ早いうちから、適切な予防や治療に取り組んでほしいと思います。


 骨粗しょう症もいつの間にか骨折も、目に見えない骨の病気だけに、定期的に検査を受け、自分の骨の状態を知っておくことが大切です。骨量の確認は女性の場合、閉経前は5 年に一度、閉経後は2〜3 年に一度でいいでしょう。骨粗しょう症は女性に多い病気ですが、男性も決して安心はできません。男性も高齢になるにつれ、骨粗しょう症を発症する人が増えています。男性といえども、自分の骨について日ごろから注意することが大切です。


 予防と早期発見・治療が、骨粗しょう症といつの間にか骨折の「転ばぬ先の杖」。今日から、骨の健康対策を心掛けてほしいと思います。

 
bottom of page