リハビリテーション部では、リハビリ通院(運動器リハビリ)患者さんに向けて、自宅でも継続してトレーニングしていただける様に、『自宅で出来る運動療法』パンフレットを作成しました。
第1弾として、『肩関節セルフケア』が完成しましたので、ご紹介させていただきます。(12月頃~配布予定)。
四十肩、五十肩とも呼ばれる肩関節周囲炎は、肩関節周囲にある筋肉などの炎症により鋭い痛みや夜間痛などが生じ、関節の動きが制限される病態です。中年以降に発症することが多く、有病率は全人口の2~5%と報告されています(第2回ブログも是非ご覧ください)。治療は、薬物療法・運動療法・理学療法で改善することが多いため、手術になることは少ないとされています。症状の原因や治っていく過程には個人差がありますが、日常生活に支障がなくなるまで1年前後を要するとされています。その一方で、平均7年後にも半数の患者さんに何らかの痛みや可動域制限が存在したとの報告(Shaffer B, et. al. : JBJS 1992)もあります。
当院での肩関節周囲炎の理学療法:痛みが強い急性期の患者さんには、肩関節を安静にする為のケアをアド
バイスして二次的な症状が起きないように肩甲骨周囲の徒手療法を施行します。急性期を過ぎた患者さんには、関節に動きを加える徒手療法(関節モビライゼーション)・温熱療法(ホットパックや入浴)・運動療法(ストレッチ、チューブ・棒を利用した筋力訓練)を追加して行い、段階的に治癒を目指します。
ただ、肩関節周囲炎の治癒を目指すには、「リハビリ通院時のみ治療を受けて終わりにはせず、患者さん自身もケアの方法をしっかり覚えて頂いて、自宅でもしっかりとケアを行っていくことが重要」(Kelley MJ, et. al. : JSPT 2013)とされており、リハビリ通院患者さんに、自宅でも引き続きご自身でトレーニングを継続して頂きたいとの思いから、この度『肩関節セルフケア』を作成するに至りました。パンフレット作成にあたり、プロのイラストレーターに当院オリジナルキャラクターを作成してもらい、イラストを多用してどなたにでもわかり易いように工夫致しております。
リハビリ通院も重要ですが、患者さん自身のセルフケアも大変重要な事と考えております。我々理学療法士も患者さんの『治癒』という大きな目標に向かって、歩みを共にしたいと考えております。 引き続き当院リハビリテーション部を宜しくお願い致します。