皆さんは、屋内や屋外を歩いている時に『脚を挙げたはずなのにつまずいて転びそうになった。』ことや、『ちょっとした段差に足を取られて転びそうになった。』という経験はありませんか?
もしかすると原因は足関節や足趾の力が弱くなったからかもしれません。
『歩くのが大変になってきた。』『つまずくことが増えた。』となったとき多くの方は大腿や臀部の大きな筋肉が弱くなったことを考えると思います。もちろん、それも原因の一つになりますが、実は、足関節や足趾の力が弱化することが原因になっている可能性があります。
歩くという動作を考えたとき『立脚相』と『遊脚相』という2つの周期に分けられます。立脚相とは踵が地面に接地する『踵接地』から爪先(足趾)で地面を蹴る『爪先離地』まで、遊脚相とは爪先が地面を離れて前に脚を振り出し踵が再び地面につくまでのことを言います。
爪先離地の際には、爪先で地面を蹴り前方への推進力を得ることが必要になります。そのためには足関節の底屈と足趾の屈曲を行う力が重要になります。この力が低下すると推進力が不足し歩幅が小さくなり歩くことが大変に感じられます。
次に遊脚相では脚を振り出す際に足関節を背屈(爪先を上げる)することで爪先が段差や地面に引っ掛からないようにすることが大切になります。
このように歩く動作の中でも足関節や足趾の力が必要になる場面が少なからずあるのです。そこで今回はお家で簡単にできる足関節や足趾の力を強化する運動を紹介したいと思います。
① 爪先上げ運動(足関節を背屈する力を強化)
仰向けに寝た状態か椅子に座った状態で爪先を自分に向けるように上げてゆっくりと戻します。
⇒10回を1セットとして3セット行います。
② 爪先立ち運動(足関節を底屈する力を強化)
椅子に座った状態か動かない物に掴まって立った状態で踵を浮かせて爪先で立ち、ゆっくり戻します。
⇒10回を1セットとして3セット行います。
③ タオルギャザー(足趾を屈曲する力を強化)
椅子に座り足元にタオルを広げます。足趾を屈曲しタオルをたぐり寄せます。
タオルをたぐり寄せるか足趾を15回屈曲させるのを1セットとして3セット行います。
運動は痛みがない程度に無理をせず行いましょう。回数やセット数は自分の状態に合わせて増減させて調整してください。
私たちが生活する中で歩くことは欠かせない運動です。しかし、筋力が低下すると歩くことが大変になり転倒する危険性が高くなってしまいます。転倒することで骨折や靱帯損傷、関節を痛めるなど思わぬ怪我をして生活することが困難になることや廃用が進み歩くこと自体が困難になることが考えられます。
皆さんが健康で元気に歩くことで趣味活動や旅行など楽しく質の高い人生を送ることを私たちは願っています。そのためにも日々、筋力を強化・維持していくための運動を行い、歩く能力を保っていくことが大切になります。
もしも、関節に痛みを感じて違和感がある場合は無理をせず悪化する前に整形外科を受診することをお勧めします。
参考文献:基礎運動学 第6版補訂 医歯薬出版株式会社
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