骨折は予期せぬときに起こり得るものです。物につまずいたり、ちょっとした段差で転んだりしても折れてしまうことがあります。
骨折とは骨が破壊された状態をまとめていいます。
診断は症状を確認しレントゲン検査を行います。状態によってはMRI検査で骨折の確認をすることがあります。小児の場合はレントゲン検査に写らない骨があり、個人差が大きいので、骨折が疑われる場合は別の側のレントゲン写真も撮影し、比較することで診断を行います。
<骨折の種類>
1. 皮膚や軟部組織が破れて骨折部位が露出した状態の開放骨折
2. 骨折部位が破れていない閉鎖性骨折
3. 腱や靭帯との結合部位から骨片が剥がれた状態の剥離骨折
4. 感染症・骨の良性腫瘍・癌などが原因で弱くなった骨に起こる病的骨折
5. 骨がつぶれる圧迫骨折
6. 骨の特定の部位に圧力が集中して起こる疲労骨折
7. 骨がよじれ骨折面がらせん状になった状態のらせん骨折
8. 骨がばらばらに砕けた状態の粉砕骨折
また、骨が完全に折れずに、ひびの状態も骨折になります。
外来では手術を要しない骨折においては、ギプス・コルセット・装具などで経過観察していきます。骨のずれが見られた時には整復後ギプスで固定します。
骨折をしたときの治療の基本は、痛めた箇所の安静を保つことです。ギプスは皮膚の上から、痛めた部位を動かないように固定する方法です。捻挫で腫れが強い時にも安静のためにギプスをすることがあります。ギプスは水につけると固くなる包帯を使用し、患部に巻く方法と副え木のように板状のものを患部にあて普通の包帯で固定する方法があります。
ギプス固定を行った場合の自宅での過ごし方についてお話しします。
骨折部の周辺は炎症による腫れと、固定して動かせないためにむくみがおこります。むくみ対策の基本は、患部を心臓より高くあげることです。
腕や手・脚や足の骨折では固定した部分から先をできるだけ上げ、腫れが引くのを促してむくむのを防ぎましょう。夜休むときは枕やクッションをあて、心臓よりも高い位置に上げます。下肢の骨折などは、日中も時々横になり足を上げるとむくみが改善します。
骨折部の腫れや痛みに対しては、湿布を使用するのもいいですが、腫れが強いときは皮膚への刺激が強くなることもあるため、氷や保冷剤をタオルなどで包み患部を冷やしてください。腫れや痛みが強い間はシャワーをサッと浴びるぐらいにし、入浴は医師に確認してからにします。ギプスはぬれると変形するので、つけたままシャワーを浴びる時はビニールなどで保護して短時間で済ませましょう。
骨のずれが少ない場合は、ギプスやシーネで3~5週間程度固定を行います。その間、自宅では固定している部位の包帯の緩みがないか確認し、緩みが見られる場合は固定がきちんとされるように包帯の巻き直しをします。
ただし、ずれがあり整復の処置後にギプスシーネで固定した場合は巻き直しに制限があることもあります。そういった場合や自宅での巻き直しが難しい時、ギプスがあたって痛い所があれば次回受診日まで待たずに当院外来にお越しください。
これからの時期は雪や路面凍結などで骨折の危険が増えていきますので、十分注意してお過ごしください。
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