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厚生労働省による国民生活基礎調査(2019)によると、病気やけが等で自覚症状のある人は人口1000人当たり 約300人となっています。また年齢階級別にみると、10〜19 歳が最も低く、年齢が高くなるにしたがって上昇し60〜70歳代では約2〜3人に1人、80歳代では2人に1人は病気や怪我等の自覚症状を訴える方が存在しています。


 症状別にみると、男性では「腰痛」での有訴者率が最も高く、次いで「肩こり」が上位を占めており、女性では「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」「手足の関節が痛む」となっています。男女問わず「腰痛」や「肩こり」が上位を占めている結果が出ています。


 そんな悩む方が多い症状のうち今回は首の痛み(肩こり)について解説していきたいと思います。そもそも首はどのような構造をしているかというと、人間の背中には背骨があり、24個の骨で構成されています。首の骨(頚椎)は7個あり、骨の周囲は筋肉や神経など様々な組織によって構成されています。体重の約13%もある頭を支えている頚椎は背骨の中で最も小さく、最も大きい可動性を持っているので関節や周囲の組織に大きな負担がかかりやすいです。首の痛みに悩む方が多いのはこのような構造が関係しています。


 首の痛みにも種類があり、首の痛みは筋肉性疼痛と言われる、日常生活や仕事での不良な姿勢・動作による首や肩甲骨への負担の増加によって出現する場合が多い傾向にあります。日常生活や仕事における不良姿勢や同一姿勢の保持、単純動作の反復、不適切な動作環境による刺激が長時間加わる事で関節や周囲の組織に炎症を起こし、痛みやコリなどの自覚症状が出現するものだと考えられています。つまり、日常の習慣を見直し首の筋肉を鍛えることで症状の緩和をすることができます。


※背骨の周りには多くの神経が通っており、飛び出した椎間板が神経に圧迫などのダメージを与える事で痺れや痛み、脱力感などの症状を引き起こすこともあります。痺れや強い痛み、脱力感などが出ている場合は治療にも長い時間がかかり、場合によっては手術が必要な為早めの受診が必要となります。


 それでは自宅で出来る首の痛み(筋肉性疼痛)を改善する為のセルフケアやエクササイズ方法をご紹介します。


★ 姿勢の改善

 筋肉性疼痛の中で最も多いのが不良姿勢による痛みです。多くの人が背中を丸め顔を前に突き出すような姿勢をしています。このような姿勢は頸椎の負担を大きくし筋肉の緊張を高めます。長時間続けると血流が悪くなり痛みやコリの原因になります。まずはこの姿勢を改善し、頸椎の負担を減らしましょう。(ブログ内写真が座位での理想の姿勢です)


 

★ 運動を行う

 身体を動かすことで血流が促進し、疲労を感じさせる物質などが溜まりにくくなります。運動を行う際は、力を入れ過ぎずゆっくりと痛みが出ない範囲で行います。ご自宅で簡単に出来る運動を4つご紹介しますので、参考に試してみてください。



① 手で頭を押し、その手に負けないように5秒間、頭で押し返しましょう。

  前後左右、それ ぞれ5回を目安に繰り返しましょう。


② 首をゆっくり大きく回しましょう。5回を目安に繰り返しましょう。


③ 肩甲骨を(内方向に)寄せて5秒間止め、ゆっくり戻しましょう。

5回を目安に繰り返しましょう。


④ 両肩を引き上げて5秒間止め、ゆっくり引き下ろしましょう。

5回を目安に繰り返しましょう。


注意‼ 痛み・違和感が強い場合や動かすことが出来ない時は、

病院を受診し、医師の指導のもと行ってください。


日常の習慣を見直す

 日常生活や仕事における不良姿勢や同じ姿勢の保持、単純動作の反復、不適切な動作環境など首に悪影響を及ぼす習慣を見直し改善しましょう。毎日デスクワークや家事を行なっている方などは15〜30分に1度姿勢を変える・首を回す・休憩を取るなど首の負担を減らすことが重要です。

 また負担のかかる作業環境を一度見直してモニターの位置を高くする、台所の作業台の高さを調節するなど下を向き過ぎないように調整することも効果的です。


 今回は、自宅で出来る首の痛みに対するセルフケアやエクササイズ方法をご紹介しました。首が痛いという症状でも様々な原因があります。なかなか良くならない、徐々に痛みが強くなっている場合は医師の診察を受け、ご自身の首や肩の状態がどうなっているのか診断をうけることも大切です。


 当院では疾患や症状によって関節注射や薬物療法、物理療法や運動療法など患者様一人ひとりの状態に合わせた治療を選択・実施しております。はじめは症状も軽く病院へ行かなくても大丈夫と思っていても、症状が長引く、悪化していく場合も多々あります。不安がある際はまず整形外科に行き、医師に相談してみてはいかがでしょうか。


<参考文献>

 日本理学療法士協会 理学療法ハンドブック




 全国的に新型コロナウイルスの感染状況が落ち着く中、ワクチンの接種も進み、感染者数も大幅に減少していますが、ここまで続いたコロナ感染拡大による外出自粛の長期化で、運動量が減ったことが原因・有因と考えられる整形外科疾患が今、増加しています。


 コロナ禍で歩く時間が少なくなり、ひざを動かすことが減って関節が固くなり、歩いたときに音がしたり、足の踏ん張りがきかなくなったりといった違和感を訴える方が、高齢者だけでなく40〜50代の中年世代にも増えており、「コロナひざ」と呼ばれています。家にいる時間が長くなると、座る時間も長くなります。長時間座った姿勢が続くと、ひざが曲がったままになり、関節のまわりの筋肉が固まります。そうすると、動き始めるときにひざへの負担が大きくなり、痛みや違和感を感じます。悪化すると変形性ひざ関節症を発症する恐れがあるので、注意が必要です。


 また、日本臨床整形外科学会が行った全国アンケートでは、自粛後における身体の変化で、高齢者の間に足腰が弱くなり、速く歩けなくなったり、つまづきやすくなったり、階段が昇りづらくなったりするなどのロコモティブシンドローム(運動器症候群/運動器の障害のために移動機能の低下を来した状態)、いうなれば「コロナロコモ」が増えていることも分かっています。


 骨粗しょう症や骨折の患者さんも全国的に激増しているようです。骨密度は、運動によって骨に負荷がかかることで高まります。通勤や買い物などの外出程度の運動であっても、骨の健康維持には重要なのですが、その運動さえもやらなくなったことで、骨が一気に弱くなったと考えられます。


 また、これまで骨粗しょう症で通院していた患者さんでも、コロナの感染を恐れて受診控えし、悪化させてしまったケースもあるでしょう。そして、骨粗しょう症を放置すれば、骨折しやすくなります。


 一方、外出自粛や休校、部活の休止などにより体力が低下したまま、強い負荷のかかる運動をした子ども(小中高生)のけが、特に疲労骨折の急増も全国的な問題になっています。骨は常に破砕細胞により破壊・吸収され、一方で、骨芽細胞により修復・強化されています。疲労骨折は、この破壊と修復のバランスが崩れたときに起こります。自粛期間中に体力や体の機能が著しく低下し、自粛明け、部活動などが再開したとき急激な運動量や運動強度の増加に造骨力が追いつかず、疲労骨折を起こしたのです。


 前置きが長くなりましたが、今回のテーマは「疲労骨折」です。


 普通の骨折は、強い衝撃が骨に加わることで起きますが、疲労骨折の場合は、運動などで骨に軽い負荷が繰り返し加わることで起きます。針金やスプーンの柄の部分を何度も繰り返し曲げると、折れてしまいますよね。これを金属疲労といいますが、疲労骨折も同じような原理です。走る、跳ぶなどの動作を繰り返し行っていると、骨にレントゲン写真にも写らないような小さなヒビが入り、そのヒビが自然に修復される前に再び同じ動作が繰り返されることで、骨が耐えきれなくなり最終的に折れてしまいます。


 一般的に疲労骨折は、日々運動を行うスポーツ選手、また中高生、大学生など部活で激しい運動習慣のある人に多くみられます。また、小学校から中学、中学から高校に進学する春先、運動部に入って急に競技を“頑張りすぎた”人にも起こりやすいです。発育期の十分な骨と筋肉の強度とバランスを持っていない子どもが、短期間に集中的なトレーニングを行うことによって発生します。あらゆるスポーツで疲労骨折は起こりますが、サッカーにおける足の外側の骨、バレーボールや走り高跳びなど跳躍系の選手や長距離ランナーにおけるすねの骨、テニスや剣道における腕の骨など、好発部位はスポーツの種目によって特徴があります。


 ちなみに、スポーツをしていない人でも疲労骨折になる可能性はあります。身近な例としては、ぜんそくやかぜなどで長い期間せきを繰り返していると、肋骨への軽い衝撃が積み重なって疲労骨折を起こすことがあります。また、中高年の方は過度なジョギングはすねや腿の骨などを、長距離のウォーキングは足の甲の骨などを疲労骨折してしまう危険性があるので注意してください。


 足などに痛みが出たため、レントゲンを撮ったけど、異常が見つからないので、無理をして練習を続けていたら…というのは疲労骨折を起こしやすい危険なパターンです。外傷のないままひびが入っているため、本人も保護者も骨折とは思っていないケースが多いです。


 また、集中して練習した後に痛みが出て、休むと良くなるけれど、また練習を始めると痛みがぶり返す…というのも疲労骨折が疑われるパターンです。筋肉痛くらいにしか思っておらず、これくらいの運動で骨折の疑いがあることに驚いたという患者さんも多いです。


 疲労骨折は痛みが出た直後にレントゲンを撮っても病変(骨折線)が見つからないことが多いのが厄介な点です。痛み始めの時期は、骨の損傷も軽微なので、レントゲンに写るほど変化していないためです。医療機関でも練習のやり過ぎによる筋肉痛などと診断されてしまうことがあります。しかし、そのまま激しい運動を続けると、症状は悪化します。運動時に痛みの現れるタイミングが次第に早くなり、さらに進行すると、運動できなくなるほど強く痛むようになり、やがて安静時にも痛みが続くようになって日常生活に支障を来たします。


 疲労骨折は、早期発見・治療が重要で、当然ですが早く受診すれば、早く治り、競技への復帰も早いです。反対にこじらせると、数カ月〜1年以上も骨がうまく元に戻らない難治例に進行してしまうことも。レントゲン写真だけでは分からないことも多いため、すねや足の甲などに痛みがあるなら、念のため、MRIのある整形外科でよく調べてもらった方がいいでしょう。


 治療は、患部に負担をかけないよう安静にするのが原則です。松葉づえや足底板などの装具を使うこともあります。骨がずれるなどの重症でない限り、手術をすることはほとんどありません。3〜6週間を目安に競技復帰できます。


 ただ、疲労骨折が完治し、ようやく競技に復帰しても、また時間が経つと同じように痛みが出てしまうケースも少なくありません。そうならないためには、①成長期には、骨の成長スピードに筋肉の発達が追いつかず、筋肉が固くなって柔軟性が低下しているので、運動前にアキレス腱などを十分にストレッチすること。固い地面などの練習環境も関係するので、クッション性に優れたシューズ選ぶこと、②オーバートレーニングにならないよう、適切な休養を取ること(これは、ご家族や指導をする立場にある方が疲労骨折の発症・再発のリスクを知り、対応していく必要があります)、③整形外科医といっしょに疲労骨折の原因となった動作や練習を分析し、特定の骨に負荷が集中しない運動動作を身に付けること、などが重要です。



 骨折は予期せぬときに起こり得るものです。物につまずいたり、ちょっとした段差で転んだりしても折れてしまうことがあります。

 

 骨折とは骨が破壊された状態をまとめていいます。

 

 診断は症状を確認しレントゲン検査を行います。状態によってはMRI検査で骨折の確認をすることがあります。小児の場合はレントゲン検査に写らない骨があり、個人差が大きいので、骨折が疑われる場合は別の側のレントゲン写真も撮影し、比較することで診断を行います。


<骨折の種類>

1. 皮膚や軟部組織が破れて骨折部位が露出した状態の開放骨折

2. 骨折部位が破れていない閉鎖性骨折

3. 腱や靭帯との結合部位から骨片が剥がれた状態の剥離骨折 

4. 感染症・骨の良性腫瘍・癌などが原因で弱くなった骨に起こる病的骨折 

5. 骨がつぶれる圧迫骨折

6. 骨の特定の部位に圧力が集中して起こる疲労骨折 

7. 骨がよじれ骨折面がらせん状になった状態のらせん骨折 

8. 骨がばらばらに砕けた状態の粉砕骨折

また、骨が完全に折れずに、ひびの状態も骨折になります。


 外来では手術を要しない骨折においては、ギプス・コルセット・装具などで経過観察していきます。骨のずれが見られた時には整復後ギプスで固定します。


 骨折をしたときの治療の基本は、痛めた箇所の安静を保つことです。ギプスは皮膚の上から、痛めた部位を動かないように固定する方法です。捻挫で腫れが強い時にも安静のためにギプスをすることがあります。ギプスは水につけると固くなる包帯を使用し、患部に巻く方法と副え木のように板状のものを患部にあて普通の包帯で固定する方法があります。


 ギプス固定を行った場合の自宅での過ごし方についてお話しします。

 骨折部の周辺は炎症による腫れと、固定して動かせないためにむくみがおこります。むくみ対策の基本は、患部を心臓より高くあげることです。


 腕や手・脚や足の骨折では固定した部分から先をできるだけ上げ、腫れが引くのを促してむくむのを防ぎましょう。夜休むときは枕やクッションをあて、心臓よりも高い位置に上げます。下肢の骨折などは、日中も時々横になり足を上げるとむくみが改善します。


 骨折部の腫れや痛みに対しては、湿布を使用するのもいいですが、腫れが強いときは皮膚への刺激が強くなることもあるため、氷や保冷剤をタオルなどで包み患部を冷やしてください。腫れや痛みが強い間はシャワーをサッと浴びるぐらいにし、入浴は医師に確認してからにします。ギプスはぬれると変形するので、つけたままシャワーを浴びる時はビニールなどで保護して短時間で済ませましょう。


 骨のずれが少ない場合は、ギプスやシーネで3~5週間程度固定を行います。その間、自宅では固定している部位の包帯の緩みがないか確認し、緩みが見られる場合は固定がきちんとされるように包帯の巻き直しをします。


 ただし、ずれがあり整復の処置後にギプスシーネで固定した場合は巻き直しに制限があることもあります。そういった場合や自宅での巻き直しが難しい時、ギプスがあたって痛い所があれば次回受診日まで待たずに当院外来にお越しください。


 これからの時期は雪や路面凍結などで骨折の危険が増えていきますので、十分注意してお過ごしください。

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